トミさんのパワー
目仲トミ92歳 独身 長男を亡くして 家に籠って泣き暮らし3年 ただ働き者で毎日
庭の手入れは4時間。ちゃんと自分でシルバーカーを押して90度に曲がってしまった腰だけど
力強く 島を歩く日々。最近やっと周りの薦めもあって小浜島ばぁちゃん合唱団にまた戻って来た。
返り咲いてみると 年上は99歳の大人しいハルさんだけ。後はみんな後輩たち。
僕はKBG84をどう世に打って出るかと東京と思案していた時期でもあったが 大阪城ホールの
母の日コンサートのサプライズゲストとしてデビューさせてみようとなり選抜メンバー10名を
選ぶ事になった。「大阪ね?ウチはよぉ もう3回は行ったさぁ東京も北海道も2回行ったさぁ」とか
みなさん 旅の想い出話になって誰が行くかという大事な話が遮断された。その時トミさんが告白
「みんながよ、何回も何処行ったココ行った」って言うのが羨ましくてよ。ウチも東京?三回行ったよぉ
って、言ってたけど 噓さぁ。一回もないさぁ。噓ついてご免ねぇ。だからよぉ 是非行ってみたいさぁ
大阪ちゅうところに」って92歳のばぁちゃんの謝罪告白。えらいと思ったし周りも最優先で連れて行って
あげたらいいさぁとなり 初の大阪に行く事になった。
前々から島のツカサ、ようは祈祷師としての評判は高く ハイムルブシの海開きでも永年、手を合わせて
もらってきた。実際 大雨の海開きなのに その時だけ小浜島のビーチだけに太陽が注いでるのを
船の中から観た事もあり トミさんパワーは確かにあるなぁと思ってはいた。
そして大阪城ホールのステージでもリハーサルで「いっぱい人がいて凄いさぁ」っていうセリフをお願い
してたが本番はマイクとりあげそうになり「目仲トミ92歳でございます 云々」と予定外の長時間の
自己紹介を始めたが これが可愛らしくて1万5千人の大喝采が起きた。KBGデビューのノロシが
上がった瞬間だったと思うなぁ。 それからグループのセンター的存在になり また頭も柔軟で
インタビューもチャッチャとユーモアを含めて対応するから ますます人気者になっていった
徹子の部屋でも 僕が付き添ってない場面でいきなり徹子さんから「島からどうやっていらっしゃたの?」
なんていう想定外な質問が出て僕は「あららぁ そんな質問されてもオバァ達飛行機でぐらいしか
言えないだろうし 旨く答えられないんじゃないか」って心配したが そこはトミさん「直行便で
きました」とさりげなくやってのけた。教えてもないんですよ直行便の事なんて。
シンガポールでも「アイLOVEシンガポール サンキュウべらマッチョ」って上手に言えて6000名の
地元の大喝采をうけた。器が大きい程 トミさんは燃えるようですな。
ステージの最後には恒例のカチャーシー一人踊りをやってのける 頼んでやってもらった訳じゃない
トミさんが自分でやってる事。グロンサンも相変わらず呑んでる。カップヌードルもね
普段、家に行くといつもシミーズ姿で 「はいはい上がられて冷蔵庫にいっぱい飲み物あるよぉ
パンもって帰る。グロンサン呑む?」って 掃除の手を休めて迎えてくれる
先日の北海道ツアーの出発の朝こう言った「スエちゃんとも話したけどよ この旅がもう最後だろうねぇ」
っていう。珍しく暗い感じで。所が旅を終えて帰り、疲れが出てないか様子を伺いに行くと
「楽しかったさぁ ありがとうね土田さん。次は何処行く?ウチはよ シベリアに行ってみたいさぁ」
だって。トミさん 92歳で開花し94歳でまだ見ぬ異国への旅の想いを夢見るキュートな方なのです
いつまでもセンターであの笑顔でいて欲しいと願うばかりです。
この朗読の音源は残っていません。ここにあるのは原稿だけです。